2011年 04月 22日
M洋装店のこと |
こんなことできたらいいのに!
と、心の中で夢想すること
あるいは妄想すること
これが趣味です、といっても差し支えないくらいなんですが・・・
危ない人と思われるのも
なんですので、いいわけかたがたですが
以下に
お付き合いいただければ幸いです。
ちょっと長くなりますので
ご興味あれば続きをぜひ
この冒頭の写真
以前、環七沿いにあった
ミドリ洋装店、という生地屋さんで購入したものなんです。
もう、7、8年は前になりますが。
昔ながらのがらがら上げる
シャッターもビリジャングリーン。
お店もどうやら開いてはいるんだけれど
店内には人影もなく
うっすらとすべてのものに
ほこりのベールがかかっている。
ボタンつけ用の糸がほしくて
さりとてそのためだけに
大型手芸店に行くのも面倒で
大丈夫かな?と思いつつ
街の風景に溶け込み過ぎて気づかないような
そのお店に入ったのでした。
何度か声をかけると
ようやく中から、「メイちゃん―ん」と叫びそうな
おばあちゃんが登場。
正直ちょっとお年によるトラブルもお持ちかな?と
思われるような感じでした。
件の糸を購入するつもりだけだったのですが
おばあちゃんはなかなか出てこないし
お店の奥のほうを眺めていたら
「!!!」となるような
レトロ感満載の生地が大事に大事に
陳列されているのを発見しました。
日よけもしっかりされていたので
ま昼でも薄暗いし
奥のほうに、これじゃ見えませんよ、と言いたくなるぐらい
しまいこまれていて、はたしてこれらは
売りたいのか、売りたくないのかと悩むぐらいでした。
やっとこ出てきたおばあちゃんに
「可愛い生地がいっぱいあるじゃないですか~
これ売っていただけるんですか?」
と聞くと
急に元気になって
いろいろ見せてくれました。
もんのすごく長い昔話とセットで。
わたしも結構気の長いほうですね(笑)
というか、おばあちゃん子だったもので
針仕事をする祖母の傍らで
話を聞くことが多かった。
そんな環境のせいか
おばあちゃんの話には反論とチャチャは禁物!
ひたすら聞くこと、と身にしみついております。
おばあちゃんはもう、50年以上その場所で
生地屋さんをやっているとか。
今はもう亡くなったおじいちゃんとふたり
戦後、生地を売れば飛ぶようだったという
お店を切り盛りし、子供も3人育て上げた
という頑張り屋さんだったようです。
日暮里の生地屋街に行っては
あれこれ仕入れて、仕立ての先生に頼んで
仕立てしてもらって
既製品なんてなかった時代ですよ。
昔は不便で渋谷に出るにも
バスか玉電で時間もかかった!
日暮里にいくのは一日仕事でした・・・
と延々続くおばあちゃんの話は
ノスタルジアに満ち、思わず引きこまれました。
お年を召した方独特の
ガラスのような透き通った目で
「よかったらまた来てください」
と言われ、ときどき来ます、と約束し
少しずつ生地を購入させてもらいました。
そうこうするうち
息子さんから、店はもう畳みなさい
と言われいていること、近所の人は昔からの
おつきあいでよくしてはくれるけど
心細くなってきた
といったことを聴くようになりました。
しばらく立ち寄らずにいたら
シャッターが閉まっていることが
多くなり、どうしたのかな?おばあちゃんの
体調がどうにかなったのかな?と不安になりましたが
裏側のお住まいのほうからはテレビの音が聞こえ
灯りも見えたので、そのまま帰っていました。
その後いつもシャッターが閉まっていたので
勇気を出してピンポンを押してみたのですが
応答がなく、あまりうろうろしているのも
不審者のようだし・・・とやはり帰ってしまいました。
そのころ、ふと
おばあちゃんが大事に抱えてきた
たくさんの生地などの在庫を
そのままにしておくのはもったいないという気がして
きっと、ほしい人がいるはずだし、という思いが
だんだん募ってきていたのでした。
インターネットショップ?
あるいは、ボランティアで店先を借りて
代理で販売するとか・・・・
コーヒーとクッキー付きで
イベントみたいに・・・?
妄想していたのは
そんなことだったんです。
そのお店を知っている知り合いに話すと
「あんなところに、しゃれたものなんてあるの!?」
とびっくりされ、一笑されるばかり。
やはり、そんな夢想は無理なことだわ・・・・と
あきらめてしまいました。
今にして思えば、もっと早くなにがしかの
行動に出ていればよかったのに・・・と思うばかりです。
先日、車でお店の前を通りましたが
お店はなくなっていました。
取り壊されて何かのビルでも建つんでしょう。
囲いがされて、建築現場となっていました。
在庫はどうされたのか
リックラックや木の糸巻きのミシン糸とか
箱いっぱいのボタンなどなど
そもそも
おばあちゃんご自身もどうなさっているのかわかりませんし。
他にも
おばあちゃんのおすすめで購入したお気に入りの
ビニール生地があります。
東欧風の色と柄が即、気に入ったもの。
展示会で使ったこの花柄の
ビニール生地がそれです。
ギャラリーのブログに堂々登場!
Aに見せたら、すごくかわいい!!と言ってくれて
こういうのが他にもいっぱいあったことを
思いだし、返す返すも
あと一歩、の行動力がなかったことを
悔みました。
行動力抜群のAに、せめて
妄想の一端を話し、この生地を見せていれば!
残念なことです。
こんな長ーい話につきあって
ここまで読んでくださってありがとうございます!
おばあちゃんの話のように
長かった、ですね(笑)
by lematinideal
| 2011-04-22 12:40
| 日々のこと